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旅を振り返りながら、これから旅する方にアドバイスします

中国 万里の長城

広大な面積を持ち、悠久の歴史を誇る中国の最も代表的な観光地といいますと万里の長城が挙げられるでしょう。

紀元前214年に秦の始皇帝によって建設されました。現存する人工壁の長さは約6250㎞です。この長大な万里の長城のうち、観光出来るのは北京からほど近い八達嶺長城で毎日、沢山の人で賑わいます。

万里の長城を舞台にした伝説の戦いを、イーモウ監督がハリウッドの最新技術を駆使し作成された映画が最近、話題を呼びました。マットデイモンが主人公の傭兵ウィリアムを演じています。
公開された予告編では、富や名声のために、より強力な武器を求め世界を旅してきたウィリアム(デイモン)が、人類を守るために建設されたという万里の長城にたどり着きます。60年に一度現れる、圧倒的な攻撃力をもつ謎の敵を前に、「大義のためなら死を恐れない」と決意を固めた仲間と出会い、戦う理由を新たに見出すさまがクローズアップされています。
撮影のために、5000個以上の武器、2万個以上の小道具が制作されたそうです。威風堂々とした万里の長城の景観に、壮絶な戦いを予感させる戦士たちの大軍が圧倒的な映像美で描かれています。

一部の観光エリアを除いて9割近くが崩落し、消滅の危機に瀕しているのが、最近の大きな問題です。

また、整備が行き届いておらず、工場建設による無断取り壊しなど、人的被害もみられています。

このような問題が起こる背景として、「文化財保護意識の低さが、長城消滅危機の主因」と専門家は指摘しているようです。

 北京近郊の「八達嶺長城」など、観光名所であるエリアは潤沢な予算が注ぎ込まれ修復が定期的に行なわているものの、その他のエリアは明の時代に完成して以降、今日に至るまでほとんど修繕されることもなく、大半の部分は「野長城」と名付けられるまでに頽廃した姿を晒しています。そのうえ、人為的な破壊が至る所で起きて、近年中国メディアが惨状を伝えています。

 ダム工事により地盤沈下になったり、鉄道や道路などの建設で寸断されたり、長城のレンガが沿線の住民に建築資材に転用されたり、骨董品として売られたりしている。城壁に穴をあけてトイレや家畜小屋などにする農民もいるとか。